どうして地方にゲーセンを?

2020年5月19日社会活動

 

どうして地方にゲーセンを?

筋金入りの遊び場づくりオタク

 

ご存知のかたもおられるかもしれませんが、私は筋金入りの遊び場づくりオタクです。秋葉原に10年近く住んでいたので、生粋のオタクです。遊び場づくりオタク。

もう20年ほど前になりますが、大学生のころもそういう初心者がゲームに触れ合う環境をつくったり、いまでいう読書会のようなものを主宰したり、就職してからは若手編集者の集まりなどをやってきました。

 

思い返せばこういう場をつくることについては筋金入りで、私が入学した徳島県阿南市の「津乃峰小学校」には少年野球チームがありませんでした。そこでスポーツ少年団をつくるべく自分でチームメンバーを集めたんですよね。キャプ翼やJリーグ全盛の時期に野球チームをイチからつくって、県大会で準優勝したりしたんですよ。それが成功体験で染み付いちゃったんでしょうかね。勘違いってヤツです。

人を集めて、楽しんだり、がんばったりすることが好きなんです。とはいえ6歳でそんなことをはじめているんですから、成功体験以前に先天的にそういう人間なのかもしれません。

 

そんなわけでして、私にとって集まる場所や機会を設けることは生きがいらしいんです。地方に帰ってきて、病気だのなんだのがありましたが、活力が出ないのは結局のところ、自分で場所をつくってないからだろうと。

 

考えてみれば、人を集めること、集まることが大好きなのは、大学の進学先でもわかります。地理学という学問を専攻しましたが、そのなかでも「都市地理学」と「文化地理学」が大のお気に入りでした。都市は人が集まる場所ですし、文化地理というものは民俗や風習といった人が集う祭りなどを取り上げることが多い分野です。

 

こうして思い返してみると、人生の節目節目で人が集まる場所づくりをしていることに気づかされます。本当に好きで好きでたまらないんですね。これはもう、この身と不可分なのでしょう。小学生から30年もずっとやっているので、これからの30年も変わらず、定年したってやっていると思います。経営者に定年はないですけど。

 

場所づくりって、別に自分がやらなくても……と誰もが思うんですよね。ないのは不満だけど、自分でやるのは面倒。それに挑戦するのが好きというか、逆境ほど燃えるというか。マゾヒストなんだと思います。

 

だからさ、ゲーセンにした理由を述べろよ


(2019年、徳島新聞様に取り上げられたりもしました)

 

元々はゲーム好きのためのシェアハウスをやろうということになっていたんですが、利用者からももっと外に向けて広がったほうがいいという話が出て、シェアハウスを直すのに1000万円近くかかるなら、ゲーセンやりましょう! っていわれましてね。結果、土地からはじめて4000万円かかっちゃったんですけどね。こういう理由で流れとして、まずはゲームありきだったわけです。

 

ただ、今回ゲームということにしたのは、単純に地方ほど「20〜40代の居場所がない」からです。特に男性の居場所がないという話をよく耳にしたからなんですね。かつては居酒屋というものがありましたけれども、いまは飲酒運転も厳しくなり(そんなの当然なんですけど)、地方では気軽に飲んで帰れません。

 

かといって、女性のようにスイーツやカフェ、雑貨屋や衣料品などのショッピングを楽しむこともできません。セレクトショップや衣料品店は女性モノばかりでしょう。デパートに行っても、男性用はごく少数。あってもスーツ関連程度じゃないですか。

※もちろんゲーセンは女性や想定世代外のかたも楽しめるように工夫します

 

こうなると、本当に居場所がない。だから大学などの進学で都会に行くと、もはや地方に戻ってくる理由がなくなってしまうんです。どんなに必死になって若者を地域に呼び込もうとしたって、若者の居場所がないままでは呼び込む人間より出ていく人間の方が多くなります。

 


(こんなも誌面もありましたっけ)

 

そこで、さっきの話に戻るんですよ。

不満ではあるけれど、自分で居場所をつくったり、主宰するのは面倒だという話です。街おこしがどうのとやる前に、そんな人たちに普段使いできる居場所を提供するのが先だ、と私は考えるのです。イベントも大切ですけど、それだけでは人は定着しませんからね。有名大学(学校)や企業(就職)を一朝一夕でつくることはできませんから、まずは遊び場だけでもどうにかしようと。

 

行政やお偉方がよろこびそうな街おこしだけでは、やっぱり人は残りませんよ。

そういった行政の取り組みをいたずらに批判や非難したいわけじゃなくて、美味しい小料理屋がある、脂ギトギトのラーメン屋がある、利用者に即した隠れ家的なショップや飲食店といった「遊び場」がある……。そういうものがなくてはダメなんです。これは都市地理学や社会学における研究で最近わかってきたことです。人間なんてものは、家と職場の往復で満足できる人ばかりじゃないんですね。(気になるかたはぜひ、サードプレイスについての論文や書籍を読んでみてください)

 

ですので、立派な大人にはあまりよろこばれないようなもの(ゲーセン)を私費でいちからはじめることにしました。行政にできないことを民間でやり、その効果を示してやろうという反骨心、逆境魂からくるものです。しかも、電車もバスもない、田舎の辺鄙な場所で開業します。破壊的なことをはじめますが、地域とはなるべく迷惑にならない「いい距離感」でいたいんです。そこはわきまえるつもりです。行政でやりにくいことをサポートしたいのです。若者のためにゲーセンを税金で! なんていえないですもんね。

 

これは私なりの地理学の実践と実験でもあります。

こういっておくと頭よさそうでしょう。どうですか。賢く見えますか?

地理学も大好きなんですよ。

ゲーセンを開業するバカがいうことじゃないとも思いますが、学問もおもしろいので、これを機会にゲームだけじゃなくそういうものにも興味を持ってもらえるとうれしいですね。

 

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日本に限らないのかもしれませんが、子どもに将来の夢を聞くと、職業名を答えます。

不思議なものです。

「犬を飼って、悠々自適に暮らしたい」

などとはいいませんし、大人になればますますいえません。

そういう文化、風土は、勤勉さを磨く一方、窮屈さを産んでいないかと。

破壊的で革新的なことを発見するには、ちょっと損なんじゃないかと。

 

バカな私なので、あまりこういったことはわからないのですが、もう少しくらい自由であってもよかろうと思うのです。

それを示すためにも、

田舎に、ゲーセンを、新築するのです。

 

難しいことだとは承知しております。可能であれば皆さんのお力添えをいただきたいのと、私自身、皆さんへのお力添えをさせていただきたく存じます。地方でもこんなことができる! と示せれば、きっといろんな地域が希望を持てると思うのです。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

追記:どこで建てられるんですか?について

 

ご質問いただきましたのでこちらに追記です。

徳島県阿南市那賀川町上福井南川渕です。順調に行けば夏開業予定です。

設計と施工は、阿南市の工務店「まもる建設」さんにお願いしています。

世界初? になると思われる、長期優良住宅仕様のゲーセンです!

自宅で発電した電力で極力ゲームの電気代を賄う、

エコゲーセンとなる予定ですが、果たして!!

 

2020年5月19日社会活動

Posted by サトウ ユウト