ゲーセンのためにゲーセンの店長をやめるということ

リバーサル業務日誌

中野TRFの店長さんの記事を読みました。

やっぱり、そうなるよねというのが個人的な実感です。

かくいう私は、一足先に「就職」しました。

これはコロナの影響ではなくて、ゲーセンをはじめると決めたとき、つまり2019年には考えていたことです。ゲーセンの運営費を働いて稼ぐためにベーシックインカムっつーか、就職しないとだめだよな、ということです。

 

そんなわけで、いまの仕事であるデザインやコンサルティングの仕事は就職先の事業として自由にやってよく、その代わり従来発注いただいていた広告や雑誌のデザインを会社員としてすることになりました。当然、社内ではコンサルタントではなく経営企画という名前になりますね。

 

自分語りはこのへんにして、やっぱり、ゲーセンって厳しいんですよ。いま個人でゲームセンターをやっている人は、多かれ少なかれ「こいつは文化だ!」だとか、そんな高尚でなくっても「ここに集まるクズどもの居場所を残さねえと!」と思って必死にがんばってるんです。

 

秋葉原で6〜8階建てのペンシルビルを一本借りようと思ったら、月に500〜800万円くらいの家賃ですからね。どこも割とそんな世界でやっている。地方でも100万円前後は当たり前で、むしろ「駐車場」が必要なぶん、ゲーム機を置くスペース以外に家賃がかかって苦しい部分があったりします。

 

「そんな儲からないことしてんじゃねーよ、バーカ!」っていうご意見は脇に置いてですよ。こんな状態で、意地とか愛とか、誰かのためってゲーセンを構えていく以上、ゲーセンの店長だからこそ、ゲーセンから給料をもらえないという結論にたどり着くんだろうなと。

 

ああ、やっぱみんな同じだよね〜と。

私もそうです。お店からお給料はもらえない。月に数十万円の売上がないと、4000万円の土地・建物の借金が返せないですからね。給料なんてもらっている場合じゃないんです。だから、食い扶持はヨソで仕事をして稼ぐという結論にいたるんですよ。

 

私のような個人の趣味のような店ならいざしらず、ちゃんと店員さんを雇って、テナントに入って営業して、回線使用料のかかるゲーム機を置いて……とやるならば、なおさらお店から給料なんてもらえない。

 

お金儲けのためにやってるわけじゃない!

っていうのは、腐っても経営コンサルの私がいうべきことじゃないんですけど、理屈じゃどうにもならない「愛」に突き動かされてそうしているので、そんな空間で少しでも楽しめているならば、お店にはもうちょっとだけ優しくしてあげて欲しいなと思うんです。

 

といっても、こんな記事を読んで、「なるほど、そうだなあ」と思ってくださるような優しいかたは、すでに十分にお店に優しくしていただいているんですけどね。

 

釣りとかでもそうなんですよ。釣り場にゴミを捨てるなといって話を聞いてくれる人は「そもそも捨てない人」なんです。富士山にゴミを捨てるな! っていうのも同じですね。捨てるのは元より聞かない人なんで。

 

なんかいいたいことから離れちゃいましたけど、1クレ50円が高い、1クレ100円はボッタクリ! なんてネットに書いちゃったりするのは内情を知ればとんでもないことだってわかるはずだよ、店長さんはみんな店の損失を外で稼いで穴埋めしたいと思うほどゲームを愛して、ゲーセンのために粉骨砕身がんばっているんだよ、ということなんです(コロナの影響下の現在は輪をかけてそうだと思われます)。

 

長々と書きましたが、やっぱり結論は

「もうちょっと優しくしてあげてくれよ。頼むぜ〜!」

ということになるかなぁ。