日本人の平均のゲーム力を上げたい

社会活動

ゲーマーの平均をあげることが目標じゃない

似ているようで、全然違うぞ

 

ゲーマーの平均を上げるのは簡単だ。

ヘタクソな奴、やる気のない奴を追い出せばいい。

でも、自分はこの考え方が苦手だ。嫌いだとハッキリいったほうがいいんだけれど、嫌いという言葉は敵対的だから、苦手だということにするよ。苦手ってのは自責的だからね。この表現が好きなんだ。早速脱線しちまったな。

 

そんなわけだから、「ゲーマーの平均をアップさせる」のではなく、

「日本人の平均をアップさせる」と考えることにした。

これは、ゲームをする人もしない人もあわせての平均だ。アーケードゲームのウデマエを、日本人単位でアップさせる。こうすると、「お前ヘタクソだからやらなくていいよ」とはいえない。

 

追い出しちゃったら、日本人の平均はまず間違いなく下がるから。だから、初心者どころか、アーケードゲームを見聞きしたことがない人まで、個人のペースでステップアップを応援したい。

 

いまどきゲーセンなんてものをつくるのだから、そういう発想が必要だと思う。弱肉強食よりチームプレー。ま、ヒリつくような世界観も好きなんだけどね。20年近くゲームをやっていて、互いに対戦経験もあるのに口をきいたことがない、みたいなね。

 

でも、結局はプレイ環境がバチバチしていると、日本人単位で見たときに遊びにくいよな。多くの人からすると、怖いと思われておしまいになっちゃう。これだと前述の目標は達成できない。

 

だから、環境を整えていこうと本気で考えている。誰かのお店で勝手にそんなことをすると営業妨害だけれど、自分の店ならできるでしょ。殺るか殺られるかの世界でないと満足できないという人は従来の場所で腕を磨きあってもらえればいいわけだし、平均を上げるための別体系の環境ってのがあってもいいと思う。選択肢としてね。

 

もちろん、最低限のやる気は求めるけどね。居心地のいい環境に居座るだけの人は環境を破壊してほかの人の迷惑になり、結果として日本人の平均のウデマエを下げかねないから。自分が環境を破壊する側の「やる気なし勢」なんじゃないかとビビる必要はないよ。一度お店にきて欲しい。きてもらったうえで、個人目標なんかを立てていけばいい。

 

はじめる前から迷惑になるかも、なんて考える必要はまったくないんだ。はじめないほうが迷惑だ。なぜって、私の目標は「日本人のアーケードゲームのウデマエを上げること」なんだから。ゲームを遊ばない人が増えれば増えるほど、夢は遠のく。だから、遠慮せずに遊びにきて欲しい。

 

ゲームセンターからゲーム道場(サロン)へ

 

言葉の意味がわかりにくいから、先に結論しておこう。ゲームセンターというのはゲームが置いてあるだけの旧来のものだ。それはそれですばらしいし、これからも残っていって欲しい。特に大型筐体系はね。

 

一方でゲーム道場(サロン)とはなにか。自己鍛錬や交流を目的とした場所、ということだ。サロンや社交場といいかえたり、居場所だのサードプレイスといいかえてもいい。ゲームを軸にして、人と人が繋がりあって、安心したり楽しんだり、日頃のストレスをリセットできる場所、ということだ。

 

社会人の習い事、趣味の集まりのジャンルに、「アーケードゲーム 」を堂々と参戦させてやろうと考えているわけ。ゆくゆくはアーケードゲーマーの介護職員がいる老人ホームをつくってやろうだとか、24時間対戦できる温泉旅館を建てようなんて話もあるんだけれど、それはまあ、はるか未来の野望だ。

 

とにかく、居場所をつくりたい。ゲーセンの魅力というのは、本名も経歴も知っていたとしても、不思議とリングネームで呼びあって、年齢も学歴も年収も関係ない、属性に囚われない交流ができるところにあると思う。そういう居場所を地方にもつくっておきたいのだ。

 

アーレントという哲学者が「公共というものは属性を脱ぎ捨てることで得られる」といった定義をしたらしいんだけど、そういう意味でゲーセンってのは一番近いかもしれない。「ボスママの旦那さんが開業医で金持ちだからPTAの意見は全部その人が決めてしまう……」こういうの、嫌じゃんね。抜身の自分でゆったりといられる場所ってのが足りないよ。現代社会では。

 

当然、ゲーセンだって完璧じゃないよ。ゲームが上手い、図体がデカいとかで属性付けしてしまう人がいるからね。でも、ウチはそういうのをどんどん排除していく。

 

属性が欲しいっていうのは、自分の身を守りたいという欲求からくるからだ。つまりはビビってんだ。学歴やらなんやらを持ち出すのは、誰かに攻撃されないため。周囲にやられると恐れているからそんな武装をはじめてしまうんだな。だから、周囲を信用できずに怯えて属性で身を守り、攻撃的にならなくてもいい場所というものが必要だ。その価値観を理解できる人同士で集まれる場所が必要なんだ。24時間ファイティングポーズでいるのは息苦しいじゃない。

 

企業コンサルタントなんてのをやってると、いろいろ見えてくることがあってね。さっきの話題に戻るけれど、チームの平均を上げるのではなく、足を引っ張る奴をいじめたり追放する会社は儲かってないってのがよくわかる。エース社員だけ残れ、少数精鋭! 敗北者は去れ!ってやっていくと、どんどん縮小再生産されて消えちゃうんだな。

 

ブラック企業でもなんかも必死で新規採用するでしょ。あれは少数精鋭じゃ保たないからなんだよね。外に開かれた組織って、一部の人間だけでまわそうとしても無理なんだ。新しい人が必要なんだよ。

 

心理的に安心して働けないと、人は全力を出しきれないんだってさ。世界一厳しいといわれるグループに属しているはずのGoogleですら安心しているからあの高収益体質なんだって。安心するためにはチーム内に敵がいないことが大切だ。そうなれば属性で身を守る必要もないから、余計な力がかからない。すべての体力や精神力を仕事に注げるわけだよね。社内に巨大なサロンがあって、安楽椅子に座ってコーヒーとベーグル食ってるだけなのに、あいつらスゲーでっかい仕事をするんだ。賛否はあるけどさ。それもこれも、安心しているからなんだろうね。

 

といっても、競争はあるはずだ。でも、同時に安心もしている。それって、いいたいことをいわないとか、カドが立つような振る舞いはしないって意味じゃなくって、家族のような連帯感だからいいたいことがいえるんだと思う。そうやってぶつかりあって競争して、成長するんだな。本気である証拠だよ。本気じゃなく、表面的に取りつくろっていたら、いつまでたっても事態は前に進まないもんな。

 

血をわけた家族ってどんなにぶつかっても、かなりの部分までは関係の修復が可能でしょ。親子でも夫婦でも兄弟ゲンカでもさ、赤の他人とあのレベルで衝突したら二度と関わらないってなるよね。でも、そうならないのは、結局のところ繋がっているからなんだな。ウチのゲーセンがそんな環境になることを切に願うよ。血縁の家族レベルは無理でも、一味、ファミリーくらいにはなりたいよね。ぶつかりあっても、決別とはならない一体性と安心感。これからの居場所には必須だと思うね。

 

週に1度でも、月に1度でも、実家に顔を出す感覚で遊びに行けば、「ここが自分のホームだ」と思えるような環境をめざしたい。

社会のストレスに晒されて、人付き合いなんてやってらんねえ!って意見もあるんだけどさ、社会心理学だかなんだかでは、人付き合いをしないから問題をすべて自分で解決するハメになって思い悩み、ますます忙しくなってストレスになるらしいぞ。

適度に付き合うのが一番だ。そして、そのためにゲーマーからすれば手っ取り早いのがゲームで知り合いをつくることだ。

開業までまだもう少し時間が必要なんだけれど、みんなのホームになれるようがんばるから、引き続き応援してもらえるとありがたいね。

社会活動

Posted by サトウ ユウト