鉄拳2バージョンB(Ver.β)CPU戦タイムアタックの思い出

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鉄拳2 CPUタイムアタックの思い出

 

全キャラで2分を切る。

あるプレイヤーがそうおっしゃられたとき、

鉄拳はCPUはやかったとは思うけど2分てことはないでしょと甘く見ていた。

実態は2分どころじゃなかった。

聞けば初期バージョンはもっと速いのだそう。

この挑戦は本当に地獄の様相で、

1時間に40クレ、50クレと消えてるんじゃないかと錯覚するほどだった。

月単位でそんな日々が続いていて、どう声をかければいいか悩んだくらいだった。

そしてついに全キャラで2分切りがなろうかという日が近づいて、ひとつ提案がなされた。

 

「最後のキャラは生配信でやる」

 

こうなったらふんどしを締め直さなくちゃならない。

こちらも覚悟が必要だと思った。

自分自身、ゲームにこんなに向き合うことはなかったし、

これほど真剣に追い込む姿を見たことがなかった。

本当に感動したし、自分の人生を恥じた。

 

「相手に勝ちたい」という前置詞付きの「上手くなりたい」ではなく、

ただ純粋に、CPUという機械と運の産物相手に自分をぶつける姿。

これを見て、ちゃらんぽらんに終わらせていた上海に向き合うようになった。

1周クリアしたらもうどうでもいいだろう、と思っていたけれど、

この人の熱に負けてはならない、勝てなくとも応じている姿は見せないといけない。

上海3のハイスコア11万点はここから半年近くかかって達成された。

ひとり用のゲームにこそドラマがある。

なのに、世の中は対戦、対決、因縁ばかり取り上げる。

無の境地、悟りの世界、自分と向き合っているプレイヤーたちの

その清廉さをもっと知ってもらいたい。

心からそう思うし、そういうお店をつくりたいと感じた。

リバースJETの看板に「道」と入れたのはそのためだ。

ゲーム道だ。

エンターテインメントもいいだろう。

ただ、それ以外の楽しみかたがないわけでも、

負けて否定されたわけでもないと思う。

自分と向き合うゲーム、その断片を見てもらえたら幸いだ。