ゲームを嫌いになって欲しくない!

リバーサル業務日誌

ゲームを嫌いにする仕組みをどうするか?

アーケードの発展のために私なりに考えたこと

 

楽しくないものは続かない。続かなければ上手くはならない。

そして、「下手だから諦めろ」と突きつけられたものを、どれほどの人間が愛し続けられるか。

私が常々考えることです。

 

対戦格闘ゲームのはなしになりますが、格ゲーはほかのスポーツと違って、1対1です。

私の遊んできたスト2には、厳密にはランダム要素がありますが、

電子的なものですから、「まぎれ」はないんです。

デジタルで処理されるものなので、人間がミスしなければ事故は起こらない。

つまり、「お前が負けたのは、すべてお前が下手だからだ」と突きつけられる。

 

天気が、仲間が、監督の作戦が悪かった。

そんな言い訳も通用しませんし、一番逃げやすい運が悪かったというものも、

言い訳として怪しくなってきます。

 

そこへもってきて、「お前はダメだからやるなよ」というような言葉、態度に直面すれば、

人は大抵、嫌いになってやめてしまう。

 

別に私は商いとしてゲームセンターをやるからこんなことをいっているわけではありません。

ずっと昔から、ゲームが好きだという人間を守ろう、増やそうとしていることは、

付き合いの長いかたならご存知のはずです。20年くらいそんなことをやってます。

 

e-sportsが今後どうなるかわかりませんが、おそらく、肌感覚として、

「ヘタクソゴーホーム」を食らった人間は、アンチになって関わることはあれ、

好意的に格ゲーの世界に残って、プロを応援したりしないだろうと思うわけです。

わざわざ抵抗勢力をつくったり、プレイ人口を減らしたりすることは、

まわりまわって、現存のプレイヤーの首を絞めます。

e-sportsの商業化うんぬん以前に、ゲーム自体が苦しくなる。

「楽しいからやっている」というスタンスを許容しないで、

スポーツのジャンルや趣味として独り立ちすることは基本的にありえないんです。

その点において、格ゲーはいまだ独り立ちできていないといえるかもしれません。

 

縁側で将棋を指している爺ちゃんたちに、「プロを目指してないのにやるなよ」というでしょうか。

いわないですよね。不法侵入で通報されるのが関の山です。

皇居ランナーを捕まえて、「東京五輪に出るつもりもないのに走るな」というか。

いわないでしょう。そんなことをいっているプロがいたら大炎上です。

 

彼らアマは楽しいから、なんらかの利益があるからやるわけで、

プロを目指している人間、強くなることを主題としている人間とは根本的に違うんです。

同じように見えて、違う競技をしているといったほうがいいかもしれません。

トランプで7並べをするのか、ポーカーをするのか。そんな違いです。

ポーカーのプロはきっと「トランプを使って7並べなんてするな!」とはいってきませんよね。

 

プロはプロ、アマはアマのスタンスが確立せず、同じまな板の上に乗っているから大変なんです。

しかもそれが同じ箱、ゲームセンターやネット上に同居しているから、

どうしたって自分の価値観の押し付けあいになるんですね。

そして、どちらも正しいからこそ、力で決着をつけようか、ということになる。

それをやられると、やっぱり、プレイヤーは減っていく。

1対1でまぎれなく1番を決めるゲーム性ですから、その他大勢は敗者です。

そうして、手痛くやられた人間は、二度と戻ってこなくなる。

嫌いになっちゃうんです。

 

私はトッププレイヤーやプロにはなれなかったけれど、ゲームは好きだし、見て応援する。

そんな人をつくりたいし、残したいと思います。

私自身、再三再四死にかけて、思うようにいかなくなった体を抱えているから尚更かもしれません。

 

ワールドカップ前のラグビーファンって、ラグビー経験者が大半だったわけでしょう。

彼らは日本代表経験もないのに、応援しているじゃないですか。

あれは、へし折られなかったからですよ。納得できたから、ああして応援できる。

自分で納得できれば、自分に決定権があれば、引き際をどうにかできるのが分別ある人間です。

(引かない奴はそのうち上手くなります)

 

自分をよく知っている、悪様にいえば物分かりのいい奴も、素直に楽しめる環境。

そういうものが求められていると思いますし、

今後のアーケードの再興、発展には欠かせないと考えます。

 

そんなわけで、私のお店はヘタクソ大歓迎。

20年ぶりに復帰! というのもいいでしょう。そもそも私がそうですし。

やる気があれば放っておいても腕は伸びますし、なくても構いやしません。

まあ、放っておきません。手を挙げていただければ、可能な限りサポートします。

上手くなるためのサポート、楽しみ方のレクチャー、なんでもです。

 

やる気や技術より必要なのは、ゲームを楽しみ、楽しませる心。

あと、わずかばかりのクレジット。

そんだけあればいいのです。